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 『ディリータの想い』
 ゼルテニアの教会でディリータと接触。 教皇は教会の支配力を絶対のものとするため、ラーグ・ゴルターナ両公の暗殺を計画していた。 ディリータの行動の真意を問うラムザ。
 ディリータは教会への従属を否定し、オヴェリアへの想いをラムザに打ち明けた。


騎士ディリータ
「…“異端者”と呼ばれる人間が
 教会に来るとはな。いい度胸だ。
剣士ラムザ
「そうさ、僕には時間がない…。
 単刀直入に聞くよ、ディリータ。
「きみをゴルターナ軍に送り込んだ
 教皇の狙いは何なんだ?
騎士ディリータ
「…それを聞くために、危険を冒して
 ゼルテニアに来たのか。
「…いいだろう、教えてやる。
「オレの任務はゴルターナ公と
 オルランドゥ伯の暗殺だ…。

剣士ラムザ
「なんだって…!!

騎士ディリータ
「大きな声を出すな…。
「本当の計画はこうだ…。
「王家や貴族に対して不満を抱いている
 やつら…、例えばあの骸旅団のような
 輩を煽り各地で反乱を起こさせる。
「戦争に疲れた民衆は、ますます
 悪化する国政に対して不安を抱く
 ことになるだろう。
「どちらの陣営も互いの所領地で起きた
 反乱を粛清したいが、そのために
 兵を割くことはできない。
「すると、どうなるか?
 この膠着状態を打破するために
 決着をつけようとするだろう。
剣士ラムザ
「最近、各地で頻発している反乱も
 すべて教皇の企みなのか…。
「しかも、決着をつけようと、
 両軍がベスラ要塞に集結しつつある。
「まさに、きみたちの計画どおりと
 いうわけか…。
騎士ディリータ
「ああ。…だが、決着はつけさせない。
 なぜなら…、
「その戦いの最中、ゴルターナ公と
 ラーグ公は何者かに
 暗殺されることになるからだ。

騎士ディリータ
「もちろん、その周囲にいる要人たちも
 同時に暗殺される…。
「南天騎士団のオルランドゥ伯、
 北天騎士団の聖将軍ザルバッグ、
 そして、ダイスダーグ卿…。
「指導者を失った両陣営は
 戦いをやめ和平への道を
 歩まざるをえなくなる…。

剣士ラムザ
「そこで、教会が両陣営の
 “仲介者”となるわけか…。
騎士ディリータ
「民衆は諸手を挙げて
 その仲介を歓迎するだろう。
「しかも、
 伝説のゾディアックブレイブ付きだ。
剣士ラムザ
「しかし、聖石は……。
騎士ディリータ
「今の教会にとって、一番の障害は
 ラムザ、おまえなのさ。

剣士ラムザ
「きみだって、僕の持つ聖石を
 狙っているんじゃないのか…?

騎士ディリータ
「オレは教会の犬じゃない。
 オレはオレの意志で動いている。
剣士ラムザ
「どういうことだ?

騎士ディリータ
「必要なときは、遠慮なく
 おまえを殺すってことさ。

騎士ディリータ
「だが、安心しろ。方法は違っても
 目指しているものは一緒だ。
「目指す方向が一致している限り
 おまえはオレの敵じゃない…。
剣士ラムザ
「…僕と一緒に行こう。
騎士ディリータ
「…すまない、それはできない。
 彼女にはこのオレが必要だ。

剣士ラムザ
「彼女?
騎士ディリータ
「扱いやすい方が残れば、王子だろうが
 王女だろうがどちらでもいいんだ。
「教会は、どちらか一方を王位に据え
 影から操る…、傀儡(かいらい)政権
 の誕生、それが教皇の真の狙いだ。
剣士ラムザ
「きみは自分の野心のために
 オヴェリア様を利用しているのか?
騎士ディリータ
「…さあ、オレにもよくわからん。
 ただ…、

剣士ラムザ
「ただ?
騎士ディリータ
「彼女のためならこの命…、
 失っても惜しくない…。
剣士ラムザ
「ディリータ…。

騎士ディリータ
「おかしいか…?
剣士ラムザ
「いや、その言葉を信じるよ。

聞き覚えのある声
「異端者ラムザに告げる!
「この教会は完全に包囲した!
 おとなしく出てこい!!

剣士ラムザ
「…この声、ザルモゥか!!