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『天道士ラファ』 |
城塞都市ヤードーで救出された少女・天道士ラファは、戦乱に乗じ畏国王の座を狙うフォボハム領主・バリンテン大公の野心と非道を語った。
しかし、未だ大公に服従を誓うラファの兄・天冥士マラークはアルマの身柄と引き換えにラファとラムザの出頭を要求する…。
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天道士ラファ
「バリンテン大公の狙いはただ一つ。 畏国王の座よ。
「“武器王”と異名をとるほどの強力な 兵器を開発したり、数多くの魔道士を 育成したりするのもそのためなの。 |
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剣士ラムザ
「王家と血縁関係にある大公殿下を そそのかす奴らがいるんだよ。
「ラーグ公とゴルターナ公を亡き者にし 摂政の座を大公殿下に、 そのお膳立てをする…という奴らがね。 |
天道士ラファ
「なぜ、あなたは“異端者”の汚名まで 受けて戦うの?
「ううん、もちろん理由を知っている。 でも、やつらを倒したとしても 誰にも感謝されないわ。 |
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剣士ラムザ
「僕は誰かに感謝されるために 戦っているわけじゃない。
「ベオルブの名を継ぐ者である以上、 自分の名誉と誇りのために 戦っている…。 |
天道士ラファ
「それはウソね…。 あなたはそんな人じゃない。
「あなたは目の前で繰り広げられている 不正や悪事を見捨てておけないだけ。 そこに代償なんて求めない…。 |
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剣士ラムザ
「それは買いかぶりすぎだよ。 僕はそんなに立派な人間じゃない。
「…それより、きみはどうする? 僕は妹のアルマを助けるために リオファネスへ行かねばならない。
「でも、きみはやっとの思いで 逃げ出してきたんだろう? |
天道士ラファ
「兄さんを連れ出さなきゃ……。 |
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剣士ラムザ
「…どうして、彼ときみが 争っているんだ…? |
天道士ラファ
「私たちは五十年戦争で親や住む処を 失った戦災孤児なの…。
「今でも忘れない…。死臭のただよう ガレキの山の中を、食べ物を求めて さまよい歩いたあの日々を…。
「そんな私たち兄妹を 育ててくれたのがバリンテン大公。 神様って本当にいるんだと思ったわ。 |
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剣士ラムザ
「大公殿下は戦争孤児のために 孤児院など数多く建設されている。
「その裏側で“才”を持った子供を プロの暗殺者に仕立て上げるために 英才教育をほどこす…。
「それがきみたちというわけか…。 |
天道士ラファ
「私たちガルテナーハ一族には 一子相伝の“秘術”があるのよ…。
「私が受け継いだ天道術と 兄さんの天冥術…、この二つの術は どの魔法体系とも異なる技…。
「あいつはそれが欲しかった。 だけど、一族の長老は協力を拒んだ。 だから、あいつは村を焼いた…。
「自分のものにならないのなら いっそのことこの世から 消してしまおう…そう考えたのね。
「戦災孤児たちの中に私たち兄妹を 見つけた時、あいつは心の底から 喜んだことでしょうね。 |
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剣士ラムザ
「その事実に気付いたきみは 逃げようとしたってわけか…。 |
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天道士ラファ
「そんなことを知らない私と兄さんは 本当の父親のように慕ったわ。
「それなのに……!! |
剣士ラムザ
「…………。 |
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天道士ラファ
「マラーク兄さん! |
マラークの声
「聞けッ、異端者ラムザよ! リオファネス城へ急げ!
「さもなくば、おまえは 物言わぬ屍(しかばね)となった妹と 対面することになるぞ! |
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剣士ラムザ
「アルマに指一本でも触れてみろ! ただではおかないぞ! |
マラークの声
「ラファよ、おまえも一緒に来るのだ!
「もし、従わぬ場合は おまえのせいでラムザの 妹が死ぬことになる!! |
天道士ラファ
「卑怯よ、兄さん! 彼らとは関係ないじゃないッ!! |
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マラークの声
「これは警告ではなく命令だ! わかったな!! |
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天道士ラファ
「行きましょう、ラムザ! |
剣士ラムザ
「すまない、ラファ。 僕らのために…。 |
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天道士ラファ
「あなたが謝ることじゃないわ。 気にしないで。 |
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