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 『ダイスダーグの奸計』
 オヴェリアの狂言誘拐に失敗したダイスダーグは、ただちに一行を捕らえ王女以下全員を抹殺するよう、ガフガリオンに再度命令する。無論、実の弟ラムザとて例外ではなかった。
 そしてまたオーボンヌ修道院での一件から、ダイスダーグは自分達の計画を妨害する者の存在を知る…。



イグーロス城執務室


ダイスダーグ卿
「なんとしてでもオヴェリアを
 捕らえるのだ。
「むろん、オヴェリアと行動を共にする
 アグリアスらも同様だ。
 捕らえてその場で処分せよ!
剣士ガフガリオン
「ラムザもか?

ダイスダーグ卿
「ベオルブの名を汚すばかりか
 我らの邪魔をする愚かなヤツめ。
「現実世界の厳しさを知るには
 丁度よい機会と考え、放っておいたが
 そこまで愚鈍だとは思わなかったぞ。
剣士ガフガリオン
「正義感の強さは
 親父ゆずりってことか?

ダイスダーグ卿
「父上も甘やかしすぎだ…。
「おとなしく従えばよし、
 抵抗するなら、そのときは
 仕方ない…。

剣士ガフガリオン
「実の兄とは思えン台詞だな。
 胸くそが悪くなるぜ。

剣士ガフガリオン
「…しかし、ライオネルの
 枢機卿が邪魔したらどうする?
「教会がバックについたら
 ラーグ公といえども
 うかつには手出しできンぞ。

ダイスダーグ卿
「それについては
 すでに手を打ってある。
「心配するな。
剣士ガフガリオン
「すべて準備が整っているってワケか。
 つくづく恐ろしい人だな、アンタは。
ダイスダーグ卿
「そう思うなら、少しは言葉を
 慎むんだな、ガフガリオン。
「貴公の首など
 簡単に切り離すことができるのだぞ。
 それを忘れるなよ。
剣士ガフガリオン
「おいおい、よしてくれよ。
 オレはアンタの忠実なる僕だぜ。
「かの聖騎士殿のように
 頭が固いわけでもない。
 それを忘れないでくれよ。
ダイスダーグ卿
「ならば、これ以上のヘマを
 踏まぬようにするのだな。
剣士ガフガリオン
「それなンだが、オヴェリアの誘拐を
 どこのどいつに命じたンだ?
「オヴェリアを追いかけるとき
 ドーターで何者かに襲われたンだぜ。
 ありゃ、どういうことだ?

ダイスダーグ卿
「本物の実行犯たちは修道院の近くの
 林の中で死体で発見された。
「何者かが、我々の計画をかぎつけて
 邪魔をしようとしているようだな…。
「いずれにせよ、オヴェリアがまだ
 アグリアスの下にいる間は大丈夫。
 奪うチャンスはいくらでもある…。

剣士ガフガリオン
「そう願いたいもンだな。