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『イグーロス城にて』 |
ダイスダーグとの謁見の後、イグーロス城の中庭で次兄の聖騎士ザルバッグや妹のアルマたちと出会った。盗賊狩りに出かけるというザルバッグは、情報収集のために放ったスパイの一人が貿易都市ドーターで消息を絶ったことを告げる…。
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剣士アルガス
「…オレの家も昔はベオルブ家みたいに 皆から尊敬される家柄だったんだ。 |
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剣士アルガス
「五十年戦争の時に、オレのじいさんが 敵に捕まってなぁ…。
「じいさん、自分だけ助かるために 仲間を敵に売ったんだよ。 そう、自分の命を救うためにね…。
「でも、敵の城を出たとたんに 背後から刺されて死んじまった…。 俺みたいな騎士見習いにな。
「そんな話を、じいさんの仲間だった 一人が命からがら脱出してきて 方々に吹いてまわったんだ。
「もちろん、オヤジは信じなかったよ。 でもな、みんなその話を信じた。 そして、みんな去っていった…。 |
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剣士アルガス
「身分か……。たしかに、オレ一人じゃ ダイスダーグ卿には会えんよなぁ…。 |
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剣士ディリータ
「ティータ! |
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剣士ラムザ
「アルマ、ザルバッグ兄さん! |
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アルマ
「ラムザ兄さん。 戻っておいでだったのね。 |
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剣士ラムザ
「お久しぶりです、兄さん。 |
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聖騎士ザルバッグ
「聞いたぞ。ガリランドでは 盗賊どもをけちらしたそうだな。
「それでこそベオルブ家の一員だ。 亡き父上も喜んでおいでだろう。 |
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剣士ラムザ
「…ありがとうございます。 |
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聖騎士ザルバッグ
「ふふっ、あいかわらずだな。 こんな言葉じゃ素直に喜べんか。
「ディリータ。たくましくなったな。 おまえの活躍の話も聞いたぞ。 ティータが嬉しそうだった。なぁ? |
ティータ
「ディリータ兄さん。 お元気そうでなによりです。 |
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剣士ディリータ
「ティータこそ元気そうでよかった。 学校には慣れたか? |
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ティータ
「ええ、みなさん、 とてもよくしてくださるので…。 |
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聖騎士ザルバッグ
「ゆっくり話していたいところだが、 これから盗賊狩りなんだ。すまんな。 |
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剣士ラムザ
「ご武運を。 |
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聖騎士ザルバッグ
「…骸旅団から身代金の要求があった。 |
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剣士アルガス
「なんだって!? |
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聖騎士ザルバッグ
「…どうも腑に落ちないことがある。
「骸旅団は反貴族を掲げるアナーキスト だが、貴族やそれに仕える者たち以外 には手を出さない義賊だという。
「そんなやつらが金目当てで 侯爵殿を誘拐したとは考えにくいな。 |
剣士アルガス
「ばかな! やつらはただのならず者だ! |
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聖騎士ザルバッグ
「情報収集のために放った“草”(スパ イのこと)の一人が戻ってこない。
「大事に巻き込まれたと考えられるが “草”ごときに捜索隊を出す必要は ないと重臣の方々はおっしゃるのだ。 |
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剣士ラムザ
「どこで消息を絶ったんですか? |
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聖騎士ザルバッグ
「ガリオンヌの東、 ドーターという名の貿易都市だ…。
「…城の警護なんぞ、退屈だぞ。 そう思わんか? |
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剣士ディリータ
「ティータ、すまない。 僕らは行くよ。 |
ティータ
「私のことなら心配しないで。 自分のことだけ考えてね。 |
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剣士ディリータ
「大丈夫、無茶はしない。 必ず戻ってくるからいい子でいろよ。 |
剣士ディリータ
「さぁ、行こうぜ、アルガス。 |
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アルマ
「ティータはああ言ったけど、 ほんとは……。 |
剣士ラムザ
「ティータがどうかしたのか? |
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アルマ
「身分が違うって、 学校でいじめられることが多いのよ。 |
剣士ラムザ
「………。 |
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アルマ
「ごめんなさい。兄さん。 余計な心配させちゃって。
「ティータのことは大丈夫よ。 私がついてるから。 安心して。 |
剣士ラムザ
「心配なんてしてないさ。 でも、あんまり無理するなよ。 |
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アルマ
「兄さんこそ、周りの期待に応えようと なんでも背負い込みすぎよ。
「兄さんは兄さんなんだから、 ベオルブの名に 縛られることはないわ。 |
剣士ラムザ
「まるで、母さんみたいな言い方だな。 ははははは。 |
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アルマ
「ラムザ兄さん……。 |
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