■物理攻撃について  まず、式を扱いやすくするために、各パラメータを次のように表現します。 v = ダメージ量、あるいは回復量 a = ユニット自身の武器こうげきの値 d = ユニット自身の武器ぼうぎょの値 ma = ユニット自身の魔法のつよさの値 md = ユニット自身の魔法ぼうぎょの値 a' = 装備品の武器こうげきの合計値 d' = 装備品の武器ぼうぎょの合計値 ma' = 装備品の魔法のつよさの合計値 md' = 装備品の魔法ぼうぎょの合計値 x = 使用アビリティによって変わる定数。直接攻撃の場合は a'と同じ。  いずれのパラメータでも、何もアイテムを装備していない状態でのユニット自身のパラメータの値と、 装備品によるパラメータの増加量とは分けて扱われます。 そのため、例えば武器こうげきの場合、a + a' = 実際のゲーム画面上での武器こうげきの値となります。 武器による武器こうげきの増加量も、服や小手などによる増加量もまとめて a'として加算されます。 他のパラメータについても同様です。  また、以下の説明では2種類の括弧を使います。 ()は通常の計算順位を決める括弧ですが、 []は数学で扱う「ガウスの記号」と呼ばれるもので、「括弧内の小数部分を切り捨てる」という処理を含みます。  例えば、[2] = 2, [2.1] = 2, [2.95] = 2, [3] = 3となります。  これらの変数や記号を用いると、各種アビリティによるダメージ計算の基本式は次のように表現されます。    ダメージ計算の基本式 : v = [x * (a + a' - [(d + d') / 2]) / 100]  xの値には、主に a'の値か、アビリティごとに決まった定数かが代入されます。 直接攻撃の場合、x = a'として計算されるので、実際のダメージは次のようになります。    直接攻撃のダメージ : v = [a' * (a + a' - [(d + d') / 2]) / 100]  この式を展開して考えてみると分かるのですが、 ダメージは aと d, d'については一次関数となりますが、a'については2次関数となります。 そのため、FFTAでは装備品によるダメージの変動量が他の要素よりもかなり重要になってきます。  なお、素手の場合はジョブ毎に決められている攻撃力が a'として与えられます。 素手での攻撃力は次のとおりです。    ソルジャー:12, 闘士:14, 忍者:12, ウォリアー:13, ホワイトモンク:20    それ以外のジョブ:10 ただし、マーシュだけはどのジョブでも素手での攻撃力が 10に固定されているようです。  ダメージ計算に関わる各要素の影響は、次のようになります。 ・武器こうげきUP … aが 1.2倍になる。 ・武器ぼうぎょUP … dが 1.4倍になる。 ・バーサク     … aが 1.2倍になる。 ・プロテス     … dが 1.4倍になる。 ・両手持ち     … aが 1.2倍になる。 ・二刀流      …2回攻撃する。ダメージは片手づつ普通に攻撃した場合と同じ。 ・パワーブレイク  … aが 0.9倍になる。 ・カエル      … dが 0.1倍になる。 ・ためる      … aが 1.5倍になる。 ・まもる      … dが 1.4倍になる。 ・属性  ・強化 … vが 1.5倍になる。  ・吸収 … vがHP回復量として計算される。  ・半減 … vが 0.5倍になる。  ・無効 … v = 0になる。  ・弱点 … vが 1.5倍になる。 (例1)  a = 200, a' = 20のユニットが d = 80, d' = 20の相手に攻撃する。  v = x * (a + a' - [(d + d') / 2]) / 100   = 20 * (200 + 20 - [(80 + 20) / 2]) / 100 = 20 * 170 / 100 = 34  先にも述べたとおり、FFTAの直接攻撃では a'の値が重要になります。 例1の場合、ゲーム画面上では武器こうげき = a + a' = 220となりますが、 ここで aが 20増えた場合と a'が 20増えた場合とを考えてみます。 そうすると、どちらの場合も武器こうげき = 240となりますが、 前者の場合ダメージは38になり、後者の場合ダメージは 76になります。 もうひとつ例を示すと、例1の状態で aが2倍になるとダメージは 74になりますが、 a'が2倍になるとダメージは 76になります。 aを200上げるより a'を20上げたほうがダメージが上がるわけです。 (例2)  例1の状態で、攻撃側が武器こうげきUP、相手が武器ぼうぎょUPをセットしているとする。  v = x * ([a * 1.2] + a' - [([d * 1.4] + d') / 2]) / 100   = 20 * (240 + 20 - [132 / 2]) / 100 = 20 * 194 / 100 = 38  武器こうげきUPの効果は aのみにかかり、a'の値には影響を与えません。 武器ぼうぎょUPの効果も同様に dのみにかかり、d'の値には影響を与えません。 各パラメータをユニット自身によるものと装備品によるものとに分けて考えるのは、 こういった現象が理由になっています。 (例3)  二刀流の場合。 一つ目の武器の武器こうげき = a1', 二つ目の武器の武器こうげき = a2', その他の装備品の武器こうげきの合計値 = a3'とすると、    一段目 : v = [(a1' + a3') * (a + a1' + a3' - [(d + d') / 2]) / 100]    二段目 : v = [(a2' + a3') * (a + a2' + a3' - [(d + d') / 2]) / 100]  おおまかにいうと、一段目の攻撃では二つ目の武器を装備しない状態でのダメージが、 二段目の攻撃では一つ目の武器を装備しない状態でのダメージが計算されています。 ダメージ予測の数値は武器こうげきの高いほうの武器で攻撃した場合のダメージが表示されます。 ■魔法について  魔法の場合も物理攻撃の計算式と近い形の式になりますが、回復魔法と攻撃魔法とで計算式が異なります。 相違点は装備品によるパラメータの上昇量が効果に影響するかどうかで、 回復魔法の場合は装備品の影響が現れません。 例えば、ケアルの回復量は魔法のつよさの高い杖を装備しても増えないし、 魔法ぼうぎょの高いローブや帽子を装備しても減らない、ということになります。    回復魔法の基本式 : v = [x * (ma - [md / 2]) / 100]    攻撃魔法の基本式 : v = [x * (ma + ma' - [(md + md') / 2]) / 100]  ダメージ計算に関わる各要素の影響は、次のようになります。 ・魔法のつよさUP … maが 1.2倍になる。 ・シェル      … mdが 1.4倍になる。 ・マインドブレイク … maが 0.9倍になる。 ・カエル      … mdが 0.1倍になる。 ・まもる      … mdが 1.4倍になる。 ・MPターボ    … maが 1.3倍になる。 ・属性  ・強化 … vが 1.5倍になる。  ・吸収 … vがHP回復量として計算される。  ・半減 … vが 0.5倍になる。  ・無効 … v = 0になる。  ・弱点 … vが 1.5倍になる。 ■乱数効果  ここまでの計算式は物理攻撃、魔法共にゲーム画面中での予測値を求めるためのもので、 実際の値には乱数による変動があります。 基本的には、    実際の値 = 予測値 * (0.9 〜 1.1 の範囲の乱数) として計算されています。  乱数の段数、何通りの可能性が設定されているのかは計測できていませんが、 かなり細かい段数が設定されているようです。 ■各アビリティの計算式  各アビリティのうち、効果量を計算できるものについて、その計算式をまとめました。 データは主に、物理攻撃・回復魔法・攻撃魔法のどの計算式が用いられるのかと、 xの値にどんな値が代入されるかです。  ただし、今回は「青魔法」と「めたもる」によって使用できるモンスターのアビリティは 解析が進んでいないので紹介していません。 □戦技 ・応急処置     回復魔法 (x = 25) □騎士道 ・介抱       回復魔法 (x = 30) ・セイントクロス  物理攻撃 (x = 35) ・ホーリーブレード 物理攻撃 (x = a') * 2 ※「手加減」は調査中。 □闘技 ・ラッシュ     物理攻撃 (x = a') ・ワイルドスイング 物理攻撃 (x = a') ・ブースト     物理攻撃 (x = a') * 2 ・ブリッツ     物理攻撃 (x = a') / 2 ・空破斬      物理攻撃 (x = 45) ・波動撃      物理攻撃 (x = 35) ・エアーブラスト  物理攻撃 (x = 35) ・バックドラフト  物理攻撃 (x = 60), 反動ダメージ = v / 4 □忍術 ・投げる      攻撃魔法 (x = [投げる武器の攻撃力 * 1.5]) ・木遁       攻撃魔法 (x = 15) ・火遁       攻撃魔法 (x = 15) ・土遁       攻撃魔法 (x = 15) ・金遁       攻撃魔法 (x = 15) ・水遁       攻撃魔法 (x = 15) □白魔法 ・ケアル      回復魔法 (x = 40) ・ケアルラ     回復魔法 (x = 60) ・ケアルガ     回復魔法 (x = 80) ・レイズ(アンデッドへの使用時)  攻撃魔法 (x = 90) ・アレイズ(アンデッドへの使用時) 攻撃魔法 (x =100) □黒魔法 ・ファイア・サンダー・ブリザド  攻撃魔法 (x = 30) ・ファイラ・サンダラ・ブリザラ  攻撃魔法 (x = 40) ・ファイガ・サンダガ・ブリザガ  攻撃魔法 (x = 50) □幻術 ・プロミネンス   攻撃魔法 (x = 20) ・テンペスト    攻撃魔法 (x = 17) ・フリーズブリンク 攻撃魔法 (x = 20) ・サザンクロス   攻撃魔法 (x = 17) ・スターダスト   攻撃魔法 (x = 20) ・ロードミラージュ 攻撃魔法 (x = 17) ・ソイルエビデンス 攻撃魔法 (x = 17) ・ダークトルネード 攻撃魔法 (x = 17) □狙う ・狙い定める    物理攻撃 (x = a') / 2 ・ファストブースト 物理攻撃 (x = a') □狩り ・ソニックブーム  物理攻撃 (x = a') ・ハンティング   物理攻撃 (x = a') / 2 ・アルテマショット 物理攻撃 (x = a') * 3 ・サイドワインダー  相手が人間    物理攻撃 (x = a')  相手がモンスター 物理攻撃 (x = a') * 2 □戦技(ウォリアー) ・応急処置     回復魔法 (x = 25) ・岩砕破      物理攻撃 (x = 45) ・疾風迅雷     物理攻撃 (x = a') □竜技 ・ジャンプ     物理攻撃 (x = a') ・竜剣       物理攻撃 (x = 35) ・ファイアブレス  物理攻撃 (x = 40) ・サンダーブレス  物理攻撃 (x = 40) ・アイスブレス   物理攻撃 (x = 40) ・ドラゴンキラー  相手が人間    物理攻撃 (x = a')  相手がドラゴン  物理攻撃 (x = a') * 2 ・バンガブレス   物理攻撃 (x = 45) □守護 ・はじきとばす   物理攻撃 (x = 30) ・なぎ払う     物理攻撃 (x = 40) □魔法剣技 ・ラッシュ     物理攻撃 (x = a') ・ワイルドスイング 物理攻撃 (x = a') ・ブースト     物理攻撃 (x = a') * 2 ・ブリッツ     物理攻撃 (x = a') / 2 ・ファイアソード  物理攻撃 (x = 54) ・サンダーソード  物理攻撃 (x = 54) ・ブリザドソード  物理攻撃 (x = 54) ・アルテマソード  物理攻撃 (x = a') * 3 □僧技 ・裏回し拳     物理攻撃 (x = 25) ・空破斬      物理攻撃 (x = 45) ・地裂斬      物理攻撃 (x = 34) ・波動撃      物理攻撃 (x = 35) ・チャクラ     回復魔法 (x = 35) □祈祷 ・ケアルラ     回復魔法 (x = 60) ・ホーリー     攻撃魔法 (x = 50) ・ウォータ     攻撃魔法 (x = 34) ・エアロ      攻撃魔法 (x = 34) □近衛戦技 ・ラスピル     攻撃魔法 (x = 60) ・ソウルスフィア  攻撃魔法 (x = a') □錬金術 ・メテオ      攻撃魔法 (x = 50) ・ラスピル     攻撃魔法 (x = 60) ・フレア      攻撃魔法 (x = 65) □賢術 ・ドレイン     攻撃魔法 (x = 30) ・ウォータ     攻撃魔法 (x = 34) ・エアロ      攻撃魔法 (x = 34) ・マレイズ     回復魔法 (x = 45) ・ギガフレア    攻撃魔法 (x = 65) ・バイオ      攻撃魔法 (x = 45) ※アルテマブロウは未確認ですが、他のアルテマ系の技同様、物理攻撃 (x = a') * 3と思われます。 □突剣技 ・タイニーバグズ  物理攻撃 (x = a') / 2 ・スラストフェザー 物理攻撃 (x = a') / 2 ・スワローテイル  物理攻撃 (x = a') ・ブルーパッション 物理攻撃 (x = a') ・ハードインパルス 物理攻撃 (x = a') ・ナイトホーク   物理攻撃 (x = a') □精霊魔法 ・ファイアウィップ 攻撃魔法 (x = 30) ・アースヒール   回復魔法 (x = 40) ・ホワイトフレイム 回復魔法 (x = 40) ・シャイニングエア 攻撃魔法 (x = 30) ・ゲイジングエビル 攻撃魔法 (x = 30) ・ヘビーダスト   攻撃魔法 (x = 30) ・スリッピィレイン 攻撃魔法 (x = 30) □赤魔法 ・ファイア     攻撃魔法 (x = 30) ・サンダー     攻撃魔法 (x = 30) ・ブリザド     攻撃魔法 (x = 30) ・ケアル      回復魔法 (x = 40) □召喚魔法 ・ユニコーン    回復魔法 (x = 40) ・イフリート    攻撃魔法 (x = 40) ・ラムウ      攻撃魔法 (x = 40) ・シヴァ      攻撃魔法 (x = 40) ・マディーン    攻撃魔法 (x = 52) □仕手 ・アルテマシアー  物理攻撃 (x = a') * 3 □狙撃 ・連射       物理攻撃 (x = a') / 2 ,連続攻撃 ・ポワゾンベーゼ  物理攻撃 (x = a') □呼び出す ・チョコボの暴走  物理攻撃 (x = 45) □チャージ ・アタック     物理攻撃 (x = a') ・ショット     物理攻撃 (x = a') ・アクセル     物理攻撃 (x = a') * 2 ・ヒール      回復魔法 (x = 35) ・アルテマチャージ 物理攻撃 (x = a') * 3 □銃撃 ・全てのアビリティ 物理攻撃 (x = a') □曲芸 ・放り投げる    攻撃魔法 (x = 投げる武器の攻撃力) ・火炎ビン     物理攻撃 (x = 30) ・ダガー      物理攻撃 (x = 45) ■補足と応用例 ・計算式へ影響する要素として、武器こうげきUPを用いると aが 1.2倍になるなどの説明がありますが、 これらの係数は正確な値ではありません。 例えば 1.2倍と書いてある部分では、正確には 307 / 256倍として計算されています。 これは 10進数だと 1.1992...という数になります。 私たちにはちょっと扱いづらい感じがしますが、コンピュータには 10進数より 2進数できりのいい数のほうが 計算しやすくなるので、このように設定されているようです。  ただ、それだとやはり説明がしづらいので、ここでは実際の値に近くてわかりやすい数を 10進数で表現しています。 それでも、よほど効果量が多くない限り誤差は生じません。 ・FFTと違い、両手持ちと武器こうげきUPは同程度しかダメージが上がりません。 さらに、両手持ちは通常の攻撃のみに有効で、攻撃アビリティには効果がないようです。 両手用武器には無効なことや盾が装備できなくなることもあり、両手持ちのメリットはよく分かっていません。 ・魔法のつよさUP、MPターボ、属性強化を比較すると、 属性が有効な場合は属性強化が最も効果が上がります。 消費MPも通常と変わらないので、属性魔法が多い黒魔法や幻術向きです。  魔法のつよさUPは効果は低いですが、その分MP効率がよいので、 MPが少なく属性強化を修得できないかわりに、スピードが高く連続魔法が使えるヴィエラ族向きです。  MPターボはMPを余計に消費する分魔法のつよさUPより効果が高く、 補助魔法の成功率も上がるので便利です。 MPの多いン・モウ族、特に強力な無属性魔法とステータス障害魔法を持つ錬金術や賢術に向いています。 ・"x = a'"となっているアビリティを使うと、装備している武器で攻撃したとみなされます。 そのため、例えばソード禁止のロウが設定されている時に、剣を装備してこれらのアビリティを使うと、 ロウに違反したと判断されてペナルティを受けることになります。 そうでないアビリティならペナルティを受けないので、 例えば「騎士道」の場合、ソード禁止の時に剣を装備していたとすると、 ホーリーブレードだとペナルティを受けますが、セイントクロスなら安全に使えます。 ・バックドラフトと岩砕破は「自分もダメージを受ける代わりに相手に大ダメージを与える」という印象がありますが、 実際には xの値が固定なので、レンゲンサイブやエクスカリバー2などの特に攻撃力の高い武器を装備していた場合、 かえってダメージが減ることがあります。 また、"x = a'"ではないことを利用すると、例えばソード禁止の時に剣を装備していても、 これらのアビリティを使えばペナルティを回避できます。 ・幻術には威力の違う2種類の術があり、 プロミネンス、フリーズブリンク、スターダストの3つは他の5つよりダメージが2割程度高く設定されています。 幻術はダメージ予想値が表示されないので選択に迷うことがありますが、 その場合は上の3つから選ぶと効果的です。 ・「投げる」と「放り投げる」はどちらも物理攻撃ではなく魔法攻撃扱いです。 また、両者は性能が違い、「投げる」はダメージが安定しているのに対し、 「放り投げる」はダメージの幅が大きく、大ダメージが出ることもあれば少ダメージになることもあります。 また、武器の種類はロウに影響を与えないので、例えばソード禁止の時に剣を投げても危険はありません。