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 『モスフングスの毒』
 神殿騎士ローファルと兄ダイスダーグの密談を耳にした聖騎士ザルバッグは、父バルバネスの眠る墓を調べる。 果たしてそこにはローファルの話どおり、毒殺の証拠となる毒キノコ・モスフングスが生えていた。
 長兄による実父謀殺の事実を知ったザルバッグは、父の墓前に呆然と立ち尽くす…。


聖騎士ザルバッグ
「…こっちだ。

薬師
「旦那、待ってくださいよ。

聖騎士ザルバッグ
「…父上。
「こっちへ来てくれ。
 見てもらいたいものがある…。

聖騎士ザルバッグ
「こいつだ…。

聖騎士ザルバッグ
「そいつが何だか、わかるか?
薬師
「わかるも何も、こいつは
 モスフングスというキノコですよ。
「即死するほどの猛毒をもっているって
 わけじゃありませんがね…。
聖騎士ザルバッグ
「やはり……。

薬師
「ねぇ、旦那…、
 さっさと行きましょうや。
聖騎士ザルバッグ
「何をそんなに怯えている?
薬師
「旦那は知らないンですかい?
「モスフングスってのは
 死体にしか生えない
 キノコなンですがね…、
「モスフングスの生えた死体が
 埋葬された墓ってのは
 たいそう縁起が悪ぃンですよ。
「そのキノコが生えた代で
 家が滅びちまうってぐらいでさぁ。
聖騎士ザルバッグ
「わかった…。
 もう行っていいぞ。

薬師
「へへへ、毎度。
聖騎士ザルバッグ
「よいか、この話は他言無用だぞ。
薬師
「わかってまさぁ。

聖騎士ザルバッグ
「父上……。