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 『ドラクロワ枢機卿と聖石』
 ライオネル城に居を構えるドラクロワ枢機卿はオヴェリアらを温かく迎え入れ、ラーグ公の謀略を教皇へ報告することを約束する。
 さらに枢機卿は古より畏国に伝わる伝説の聖石『ゾディアックストーン』を示す。ムスタディオの件にも聖石が関係していた。王女たちに別れを告げ、ラムザはゴーグへと向かう。


ライオネル城騎士
「何者だ!
 ライオネル城に何用か?

騎士アグリアス
「私はルザリア聖近衛騎士団所属の
 騎士アグリアス・オークス。
「神の御子・聖アジョラの救済を求め
 オーボンヌより参上いたした。
 開門を願う!

ライオネル城騎士
「聖アジョラの救済はすなわち
 猊下(げいか)の御心である。
「猊下の救済を求める者には
 皆等しく、ライオネルの入口は
 開かれるであろう。
「開門せよ!



ドラクロワ枢機卿
「なるほど、事情はよくわかりました、
 アグリアス殿。
「そういうことであれば、
 このドラクロワ、
 手を貸さぬわけにはいきますまい。
「早速、聖地ミュロンドへ
 使者を差し向けましょう。
 教皇猊下に直奏するのです。
「ラーグ公の不正を暴き、
 オヴェリア様の命が狙われることの
 ないよう手を打ちましょうぞ。
騎士アグリアス
「猊下、フューネラル教皇猊下は
 お聞き届けくださいますでしょうか?
ドラクロワ枢機卿
「心配召されるな、アグリアス殿。
 この私がついております。
「貴公がそのように心配されては
 オヴェリア様のお心も
 休まらぬというもの。
「古く汚らしい城ではありますが、
 聖地より返事がくるまでの間、
 ゆるりとくつろいでくだされ。
王女オヴェリア
「猊下、お心遣いに感謝いたします。
ドラクロワ枢機卿
「すべては聖アジョラのお導きです。
 ご安心召されよ。
「…ときに、若き機工士よ。
 そなたの願いも承知しました。
「バート商会を壊滅させるために、
 わがライオネルの精鋭たちを
 機工都市ゴーグへ送りましょう。

機工士ムスタディオ
「ありがとうございます、猊下。
ドラクロワ枢機卿
「が、その前に、何故、そなたら親子が
 狙われるのか説明してくれぬか。
機工士ムスタディオ
「そ、それは……。

ドラクロワ枢機卿
「よいよい…。
 これであろう?

騎士アグリアス
「そのクリスタルは……??
ドラクロワ枢機卿
「“ゾディアックブレイブの伝説”を
 ご存じかな…?

騎士アグリアス
「子供の頃、教会でよく聞かされた
 あのおとぎ話ですか…?
ドラクロワ枢機卿
「これはこれは。…アグリアス殿は
 教会が嘘を言っているとでも…?
騎士アグリアス
「そ、そのようなことは決して…。

王女オヴェリア
「…太古の昔、まだ大地が今の形を
 成していなかった時代、
「ルカヴィ(悪魔の意)が支配する
 この大地を救わんと12人の勇者が
 ルカヴィたちに戦いを挑みました。
「激しい死闘の末、勇者たちは
 ルカヴィたちを魔界へ追い返すことに
 成功し、大地に平和が訪れました。
「12人の勇者たちは
 黄道十二宮の紋章の入った
 クリスタルを所持していたため、
「人々は彼らを黄道十二宮の勇者…、
 ゾディアックブレイブと呼ぶように
 なったといいます。
「その後も、時代を超えて、
 私たち人間が争いに巻き込まれる都度
 勇者たちが現れ世界を救ったとか…。
ドラクロワ枢機卿
「さすがはオヴェリア様、
 よくご存じですな…。
王女オヴェリア
「オーボンヌ修道院でシモン先生に
 教わりました。…そういえば、
「聖アジョラは彼らを従えて、
 混乱したイヴァリースを
 お救いになったと聞いております。
ドラクロワ枢機卿
「勇者たちが所持していたクリスタルを
 我らは『聖石』と呼んでいます。
「そして、今、我らが
 目にしている石こそ、伝説の秘石、
 『ゾディアックストーン』…。

王女オヴェリア
「まさか…、
 聖石が本当にあったなんて…。
ドラクロワ枢機卿
「聖石にはルカヴィたちを凌ぐほどの
 “御力”が備わっているとか…。
「たしかに不思議な力を感じますが、
 私にはただの大きなクリスタルにしか
 見えませんが…。

剣士ラムザ
「どうしたんだ、ムスタディオ。
 顔色が悪いみたいけど…?

ドラクロワ枢機卿
「…ゴーグの地下でこれと同じ石を
 見たのではないかな…?

機工士ムスタディオ
「地下には壊れて動かない機械が
 たくさん埋まっています…。
「でも、あの石を近づけると
 死んでいるはずの機械が
 うなり始めるんだ…。
ドラクロワ枢機卿
「バート商会が狙っているのは
 その聖石ですね…?
機工士ムスタディオ
「あの石にどんな力があるのか、
 オレにはわかりません…。
「しかし、ルードヴィッヒは
 あの力を解明して
 兵器にしようとしています…。
「親父は、聖石を渡してはならないと
 言っていました…。
 だから、親父はやつらに…。

ドラクロワ枢機卿
「心配いたすな、若き機工士よ。
「教会が責任を持って管理しましょう。
 我らの兵が悪漢どもと戦っている隙に
 一刻も早く聖石を持ち帰るのです。
機工士ムスタディオ
「は、はいッ。猊下。

剣士ラムザ
「僕もいっしょにゴーグヘ行こう。
機工士ムスタディオ
「ありがとう。ラムザ。

騎士アグリアス
「ここまで来れたのは貴公のおかげだ。
 感謝するぞ、ラムザ。

王女オヴェリア
「何の力にもなれないけれど…。
 気をつけてくださいね。

剣士ラムザ
「ご心配なく。
 王女様のお言葉だけで十分です。