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 『機工士』
 城塞都市ザランダでバート商会の追撃を受けていた若者は、ムスタディオと名乗った。機工都市ゴーグで『銃』をはじめとする“失われた文明”の復興に尽力する機工士の一人である。
 囚われの父を案ずる若き機工士は、追撃の理由を明かさぬまま、ドラクロワ枢機卿の庇護を求めライオネル城へ向かう一行に同道を願い出る。


機工士ムスタディオ
「…やつらはバート商会に雇われた
 ごろつきどもさ。
騎士アグリアス
「バート商会?
 貿易商として有名なあのバート商会?
機工士ムスタディオ
「知っているのか?
 だが、ただの貿易商じゃないぜ。
「裏では阿片の密輸から奴隷の売買まで
 悪どいことを手広くやっている
 犯罪組織なのさ、バート商会は。

剣士ラムザ
「そんな奴らに
 何故、追われていたんだい?

機工士ムスタディオ
「…オレたちがなんで機工士って
 呼ばれてるか知っているかい?

騎士アグリアス
「機工都市ゴーグの地下には“失われた
 文明”が遺されているそうだな…。
「聖アジョラがまだこの世にいた時代、
 空には無数の飛空挺が浮かび、街には
 機械仕掛けの人間がいたという。
「しかし、時代の流れと共にそうした
 技術は失われ、今では本当にそんな
 技術があったのかどうかすら不明だ。
機工士ムスタディオ
「でも、そうした文明があったのは
 確かなんだよ。
「ゴーグの地下には飛空挺の残骸や
 得体の知れない機械の破片が
 たくさん埋まっているんだ。
「オレたち機工士はそうした
 “過去の遺産”を復元しようと
 している技術者なのさ。

剣士ラムザ
「さっきの戦いで、きみが使った
 そのヘンなモノが機械なのか?

機工士ムスタディオ
「ああ、これかい?
「これは『銃』と呼ばれているモノで、
 火薬を使って金属の『弾』を飛ばし
 相手をやっつける武器なんだ。
「こんなのは一番シンプルなもので
 昔は『魔法』をつめて打ち出すことも
 できたらしい…。

剣士ラムザ
「ふ〜ん…。

騎士アグリアス
「おまえがバート商会に
 追われている理由はなんだ?

機工士ムスタディオ
「…あんたたちはドラクロワ枢機卿に
 会いに行くと言っていたな。
「枢機卿は五十年戦争で戦った英雄だ。
 ライオネルの人間は今でも枢機卿を
 英雄として尊敬している…。
「オレの親父も同じだ。
 この混乱した畏国をまとめられるのは
 枢機卿だけだって話している。
「枢機卿だったらあんたたちの頼みを
 聞き届けてくださることだろう。
 お姫さまはもう安心さ。
騎士アグリアス
「…何が言いたい?
機工士ムスタディオ
「一緒に連れていってくれないか?
 オレも枢機卿に会いたいんだ。
騎士アグリアス
「何故だ?

機工士ムスタディオ
「親父を助けるためだ!
「バート商会に囚われた親父を
 助けるには枢機卿のお力を
 借りるしかないんだ!
「でも、ただの機工士のオレなんかに
 枢機卿は会ってくれないだろ?
 お願いだ。連れていってくれ!
騎士アグリアス
「だから、おまえが追われている理由は
 なんだと聞いている!

機工士ムスタディオ
「…今は話すことができない。
騎士アグリアス
「では、ダメだ。おまえを
 連れていくことはできない。

機工士ムスタディオ
「お願いだ! オレを信用してくれ!
 枢機卿に会わなきゃいけないんだ!

王女オヴェリア
「わかりました。
 一緒に参りましょう。

機工士ムスタディオ
「ホントかい?
 ありがとう、お姫さま!

騎士アグリアス
「王女の御前ぞ!

王女オヴェリア
「よいのです。
 さあ、面を上げてください。

騎士アグリアス
「わかった。
 おまえを信用しよう。