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 『士官候補生たち』
 ガリランド王立仕官アカデミーの講堂に、卒業を間近に控えた数人の士官候補生たちが集められた。ガリオンヌ地方を荒しまわる骸旅団(むくろりょだん)と名乗る盗賊団のせん滅作戦が北天騎士団を中心に計画されており、士官候補生たちにその後方支援を担当させようというのだ。



英雄王ディリータの名が
歴史に初めて登場するのは
獅子戦争勃発の1年前…


五十年戦争の敗北は
戦地より帰還した騎士たちの職を奪い、
王家や貴族に対する忠誠心を放棄させ
盗賊に身をやつす者、
王家に対して謀反を企てる者など
大量の凶賊や逆賊を生み出した…


そのため、当時のイヴァリースは
強盗や殺人が日常茶飯事に起きるほど
治安が乱れており
幾人もの英雄や魔道師を輩出した
ここ、ガリランドの町もまた
例外ではなかった…



持たざる者
CHAPTER 1 THE MEAGER



ガリランド王立士官アカデミー


士官候補生
「…昨夜もイグーロス行きの荷馬車が
 やられたんだとさ。

士官候補生
「それも、骸旅団(むくろりょだん)の
 仕業なのかしら…?

剣士ラムザ
「これから何が始まるんだろう?
 知らないか、ディリータ?
剣士ディリータ
「いや…。
 ただ、ある程度の想像はつくが…。
剣士ラムザ
「というと?
剣士ディリータ
「ラーグ公がこの町へおいでになる。
剣士ラムザ
「ラーグ公が…?
 何故?
剣士ディリータ
「ラーグ公だけじゃない。ランベリーの
 領主・エルムドア侯爵もだ。
剣士ラムザ
「それは初耳だ。
 …公式訪問じゃないな。
剣士ディリータ
「今のイヴァリースはどこもかしこも
 “危険地帯”ばかりだ。
「騎士団は八面六臂(はちめんろっぴ)
 の大活躍だが、
 実際には人手が足りない…。
剣士ラムザ
「で、僕たち士官候補生ってわけか。

「一同、整列ッ!

 

北天騎士団騎士
「士官候補生の諸君、任務である!
「諸君らも知っているとは思うが、
 昨今、このガリオンヌの地には野蛮
 極まりない輩どもが急増している。
「中でも、骸旅団(むくろりょだん)は
 王家に仇なす不忠の者ども。
 見過ごすことのできぬ盗賊どもだ。
「我々北天騎士団は、君命により
 骸旅団せん滅作戦を開始する。
 この作戦は大規模な作戦である。
「北天騎士団に限らず、イグーロス城に
 駐留するラーグ閣下の近衛騎士団など
 多くの騎士団が参加する作戦だ。
「諸君らの任務は後方支援である。
 具体的には、手薄となるイグーロス城へ
 赴き、警備の任についてもらいたい。

(……)

北天騎士団騎士
「士官候補生の諸君、
 装備を固め、剣を手にとるがいい!
「我々北天騎士団によって撃砕された
 盗賊団の一味がこの町へ逃げ込もうと
 しているとの連絡を受けた。
「我々はこれより
 町に潜入する奴等の掃討を開始する!
 諸君らも同行したまえ!
「これはせん滅作戦の前哨戦である!
 以上だ!
 ただちに準備にかかれっ!!